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不動産売却の抱え込みとは?損しない見分け方を解説

不動産売却

中村 巧

筆者 中村 巧

不動産キャリア25年

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不動産の売却を考え始めたとき、多くの方が気づきにくいのが、不動産会社による抱え込みのリスクです。
一見すると普通に販売活動をしているように見えても、実は他の仲介会社や購入希望者との出会いの機会が狭められ、結果として売却価格の低下や売却期間の長期化につながってしまうことがあります。
しかし、仕組みや見分け方を知っておけば、抱え込みはある程度予防し、早めに気づくことが可能です。
この記事では、不動産売却で起こりやすい抱え込みの実態や、その見分け方、そして売主として取るべき対策までを、初めて売却する方にも分かりやすく解説します。
安心して不動産売却を進めるための判断材料として、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

不動産売却の「抱え込み」とは何か

不動産売却における「抱え込み(囲い込み)」とは、本来は広く公開されるはずの売却物件の情報を、不動産会社が自社の都合で他社に紹介しない、または制限する行為を指します。
通常、媒介契約を結んだ物件は、不動産流通機構が運営する指定流通機構に登録され、多くの不動産会社を通じて買主候補に紹介されます。
ところが、抱え込みが行われると、他社経由の購入希望者がいても内見調整を遅らせるなどして実質的に排除し、情報の流通を狭めてしまいます。
その結果として、売主にとって有利な条件の買主と出会う機会が減り、売却活動そのものの質が下がるおそれがあります。

抱え込みの背景には、不動産会社が受け取る仲介手数料の仕組みがあります。
不動産取引では、売主と買主それぞれから仲介手数料を受け取る「両手仲介」と、一方からのみ受け取る「片手仲介」という形態があります。
同じ取引でも、両手仲介になれば不動産会社にとっては受け取る手数料が増えるため、自社の買主を優先しようとするインセンティブが働きやすくなります。
このとき、他社の買主を事実上排除するような対応を取ると、売主の利益よりも自社の収益を優先した抱え込みにつながる点が問題とされています。

抱え込みが起きると、売主が被る不利益は少なくありません。
まず、紹介される買主の数が限られるため、競争が働きにくくなり、結果として希望より低い価格での成約につながるおそれがあります。
また、購入希望者の間口が狭まることで、売却活動が長期化し、市場全体の価格動向によっては時間の経過とともに条件が悪化することも考えられます。
さらに、売主が把握できる情報が限られたままだと、「もっと高く売れた可能性」や「より良い条件の買主がいた可能性」を検証しにくく、納得感の低い売却となってしまう点も大きなリスクです。

項目 片手仲介の場合 両手仲介の場合
不動産会社の報酬 売主か買主どちらか片方から 売主と買主双方から
抱え込みが起こる動機 比較的生じにくい傾向 報酬増加を狙い生じやすい傾向
売主への影響 他社も含めた幅広い紹介につながりやすい 他社の買主が排除されると価格低下や長期化の懸念

不動産売却で抱え込みが起きやすい場面とサイン

専任媒介契約や専属専任媒介契約では、宅地建物取引業者が売主の窓口を一手に担うため、条件次第で抱え込みが生じやすくなります。
これらの契約では、宅地建物取引業法に基づき、指定流通機構であるレインズへの登録義務や、売主への業務報告義務が課されています。
本来は広く買主を募る仕組みですが、他社への紹介を渋る場合などに情報流通が不十分となり、結果的に売主の選択肢が狭まるおそれがあります。
そのため、契約の種類ごとの特徴と義務を理解したうえで、販売状況を丁寧に確認していくことが大切です。

抱え込みの疑いが生じやすい場面として、売却開始から期間がたっているのに、内見や問い合わせが極端に少ない場合が挙げられます。
専任媒介契約や専属専任媒介契約では、原則として指定流通機構への登録や広告活動によって一定の反響が見込まれるとされています。
にもかかわらず、「問い合わせ自体がほとんどない」「内見希望が続かない」といった説明のみが続くときは、他の仲介業者へ十分に情報提供されていない可能性があります。
このような状況では、販売活動の内容や、他社からの照会の有無などを具体的に確認することが重要です。

抱え込みを避けるためには、売主自身が確認できる客観的な情報を押さえておくことが有効です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約では、宅地建物取引業者にレインズへの登録義務があり、登録後は「登録証明書」を売主に交付することとされています。
まずはこの登録証明書の有無や登録日を確認し、そのうえで広告掲載の状況や、販売活動報告書の内容と整合しているかを見ていくことが大切です。
不動産広告の出稿状況や、指定流通機構での取引ステータスの管理は、国土交通省が透明性向上の観点から重視しているため、定期的にチェックし、疑問点は早めに相談することが望まれます。

場面 要注意サイン 売主の確認ポイント
専任系媒介契約締結時 契約内容の口頭説明のみ 契約書と重要事項の書面確認
売出し直後から数週間 反響や内見が極端に少ない 広告媒体と反響件数の確認
販売が長期化した段階 他社からの紹介がほぼない レインズ登録証明書と状況確認

抱え込みを見分けるための具体的な確認方法

抱え込みが疑われるときは、まず担当者への質問内容を整理することが大切です。
例えば、レインズへの登録状況、ポータルサイトでの掲載先や掲載開始日、最近の問い合わせ件数などは、一般の売主でも確認しやすい質問項目です。
これらの質問に対し、具体的な数字や日付を挙げて説明してくれるかどうかで、販売状況を正確に共有しようとしているかが見えてきます。
回答をあいまいにしたり、別の話題にすり替えたりする様子が続く場合は、慎重に様子を見る必要があります。

次に、販売活動報告書の内容から抱え込みの可能性を探る方法があります。
国土交通省のガイドラインでは、専任媒介や専属専任媒介の場合、一定期間ごとの販売活動状況の報告が求められており、反響数や案内数を記載するのが一般的です。
報告書に記載されている問い合わせ件数に対して、実際の内見件数が極端に少ない場合や、長期間「反響なし」とだけ記載されている場合は、他社からの問い合わせを十分に取り次いでいない可能性も考えられます。
その際は、どの広告媒体からどの程度の反響があったのか、もう一段踏み込んで説明を求めるとよいです。

あわせて、自分自身で公開情報を確認する「クロスチェック」も有効です。
不動産ポータルサイトは、複数の不動産会社が物件情報を広告として掲載する場であり、売主にとっても物件の露出状況を把握する手掛かりになります。
実際に物件名や所在地の一部、間取りなどを手がかりに検索してみて、想定していたポータルサイトに掲載されているか、写真や価格、説明文が適切かを確認します。
広告がほとんど出ていなかったり、更新日が古いまま放置されていたりする場合は、販売活動が限定的になっていないか、担当者に理由を確認することが大切です。

確認項目 具体的な質問例 注意したいサイン
担当者への質問 レインズ登録日や反響状況 日付や数字を示さない回答
販売活動報告書 反響数と案内数の内訳 長期間「反響なし」の記載
自分での検索確認 ポータルサイトでの掲載有無 掲載が少ない・更新日が古い

不動産売却で抱え込みを防ぐための安全策

まずは、媒介契約の内容を丁寧に確認することが抱え込みを防ぐ第一歩です。
国土交通省が定める標準媒介契約約款では、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の違いや、指定流通機構への登録義務、業務報告の方法などが整理されています。
契約前には、登録予定の指定流通機構の名称、登録までの日数、広告媒体の種類や頻度、報告方法と回数などを具体的に質問し、書面に反映してもらうと安心です。
このように、あらかじめ活動内容を明確にしておくことで、不透明な対応をされにくくなります。

次に、売主自身が主体的に動くことで、抱え込みの予防効果が高まります。
売却価格は周辺の成約事例や公的指標を参考にしつつ、市場の動きを見ながら一定期間ごとに見直す方針を担当者と共有しておくことが大切です。
また、連絡手段や連絡可能な時間帯をあらかじめ決め、問い合わせ件数や内見件数を定期的に報告してもらう体制を整えることで、販売状況の変化に気付きやすくなります。
さらに、販売活動報告の内容に疑問があれば、その都度理由や根拠を確認し、納得しながら売却を進めることが重要です。

それでも不安を感じたときは、早めに第三者の相談窓口を活用することが有効です。
不動産取引全般の相談については、各自治体の相談窓口や、一般財団法人不動産適正取引推進機構の電話相談などが設けられており、宅地建物取引業法や媒介契約の実務に詳しい専門家から助言を受けることができます。
その際に備えて、媒介契約書、販売活動報告書、担当者とのメールや書面でのやり取り、広告の画面や紙面の写しなどを時系列で保存しておくと、状況を正確に説明しやすくなります。
こうした証拠を残しておくことが、万一のトラブルを避けるうえでも大きな助けになります。

対策の場面 具体的な確認内容 期待できる効果
契約前の打ち合わせ 媒介契約の種類と業務範囲の明示 抱え込みリスクの事前把握
売却活動中 反響数と内見数の定期報告 販売状況の透明性向上
不安を感じたとき 相談窓口への相談と記録整理 早期の問題発見と是正

まとめ

不動産売却の抱え込みは、売主が気づかないうちに損をしてしまうおそれがある重要な問題です。
媒介契約の内容やレインズ登録、広告や内見の状況を具体的に確認することで、抱え込みかどうかを見分けやすくなります。
担当者への質問や販売活動報告書をチェックし、説明があいまいな場合は早めの見直しも検討しましょう。
当社では、情報を開示しながら売主さまに不利な抱え込みを防ぐ売却プランをご提案しています。
「自分の売却が本当に適正なのか不安」という方は、まずはお気軽にご相談ください。

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